こんにちは、油絵画家の和田真美子です。
以前は南フランスのエクス・アン・プロヴァンスやマルセイユの近くのカシスという小さな町に住んで、山、木、森、建物、海、港、岬などの風景を描いていました。
現在は、猫、孔雀、馬などを描いています。
では、私の自己紹介をさせてください。
油絵との出会い
神戸生まれ。
中学時代、美術の先生が自宅で油絵教室を開いていたので、毎週日曜日に通い油絵を描き始めました。
同じ中学の美術クラブのメンバーが集まり、その日テーブルの上に置かれた果物や瓶などを囲んで静物画を描いていました。
先生は特に教えるという訳でもなく、私たちは雑談をしながら自由に描くことができたので、毎週日曜日が楽しみでした。
このスタートのおかげで、私は油絵がとても好きになりました。
この経験が、私にとっての原点です。
大学での学び
高校時代は、良い先生に恵まれませんでしたが美術部に入りました。
大学は美大を受験したかったのですが、「美大によって受験のためのデッサンの描き方が違う」ということを聞いたのと、どうしても行きたい美大がなかったので美大受験は諦め、東京(実際には埼玉)に出て跡見学園女子大学の文学部の美学美術史学科に入学しました。
結果としては、教職を取る形でデッサン、日本画、油絵、彫塑、デザインなどいろいろな実技を一通り学ぶことができ、私にとっては最高の環境でした。
本科では美学や美術史などを専門的に学ぶことができたのも、とても興味深かったです。
大学では先生に恵まれ、初めて真剣にデッサンを基礎から徹底的に指導を受け、休みの日も欠かさず油絵を描き続け、美術部で年2回のグループ展に多数出品していました。
この状態がずっと続いてほしいと思いました。
卒業してからは個人で描き続けたかったのですが、なかなかうまくいきませんでした。
フランス滞在と風景画

<Atelier International de Séguret>
どういう絵が描きたかったかというと、フランスに行ってフランスの風景を描きたいと思いました。
その頃一番影響を受けたのはセザンヌで、セザンヌが描いたエックス・アン・プロヴァンスの景色や南フランスの景色を実際に現地で見ながら描きたいと強く思いました。
セギュレ時代
26歳の時、まず南フランスのセギュレという小さな村にある、インターナショナル・アトリエ・セギュレという世界各国からアーチストが来て自由に制作できるアトリエに半年間滞在して、周りの風景を1日中描いていました。

<Petit Village de Séguret>
セギュレは、南仏プロヴァンスの最も美しい村の一つとして日本語で紹介されています。
セギュレ【フランスの美しい村】 – 世界の最も美しい村をめぐる
ここでは毎年4月~10月の半年の間、世界各国のアーチストが、月単位でやってきて自由に制作に励む場として提供されているアトリエがあります。
日仏文化センターなど日本で紹介されている情報だったので、まずはここに行くことにしました。
ここは、美しい村の紹介にもあるように、山の中腹に城壁としての住居が並んでいて、その景色が絵のように美しい村です。
手前の緑はブドウ畑とサクランボの木がたくさんありました。
午前は山の中腹から見下ろした広々とした田園風景を描き、午後は太陽に照らされたセギュレ全体をブドウ畑の中から描きました。
ブドウ畑の中と言っても背丈の低いブドウ畑で、十分に広い通路を設けてあります。
フランスでは絵が日常生活に溶け込んでいて、絵を描く人に対してとても親切にしてくれます。
どんなフランス人もとても絵に興味を持っていて、気に入れば「譲ってほしい」と言ってくれたりします。
その頃は描き始めたばかりの頃で、私も自分の絵が気に入っていたので、売る気にはなれませんでしたが。
描くことが自然な営みとして日常にある。そんな文化に触れたのも、心に残る体験でした。
エクス・アン・プロヴァンス時代

< la Rotonde d’ Aix en Provence>
次に滞在したのは、念願のエクス・アン・プロヴァンスというマルセイユから 26.35 kmの距離の歴史ある町です。
セザンヌの生誕の地であり、たくさんの風景画を描いたことでも有名ですね。
町の中の景色には興味が無く、郊外の田園風景をモチーフとして絵を描きました。
エクス=アン=プロヴァンスの市街地の東、市域の南東部に位置する、サントヴィクトワール山は馬の背のように延びる全長18km以上の石灰岩の山で、セザンヌのモチーフとして有名ですね。
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<Montagne Sainte-Victoire>
この山を描いた場所は、ルート・ド・トロネというル・トロネという村の近くです。
この場所は近くにシャトー・ノワールがあり、ここも世界各国のアーチストに部屋を貸しています。
シャトー・ノワールもセザンヌがたくさんモチーフとして描いているので有名です。
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<Chateau Noir>
私もここに部屋を借りて半年間住んで絵を描いていました。
この敷地は個人所有でとても広く、周りが山で小さなオリーブ畑もあります。
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他にも、シャトーノワールを反対側から見た作品や、この場所の赤土や木などの作品もあります。
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近くには、シャトー・ド・トロネという建物もありました。



エクス・アン・プロヴァンスを拠点にした生活を送った後は、次回はカシス(マルセイユ近くの港町)に住むことになります。
カシス時代
カシスはマルセイユから車で30分くらいの小さな港町で風光明媚な観光地でもあります。
ここは地中海の海の色が抜群に美しいのに驚きました。
海の色を表現するのに夢中になりました。


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エクス・アン・プロヴァンスでは、個展を2回開催しました。

このように、実際に屋外で見たままの風景を描くことが好きでした。
それでも、もっとクリエイティブな絵が描けないかという悩みがありました。
帰国後、しばらくは制作から離れた時期もありました。
「独自の画風を創造したい」と模索しながら抽象的な作品にも挑戦しましたが、しっくりこないまま時間だけが過ぎていきました。
けれど、絵をやめようと思ったことは一度もありませんでした。
ただ、自分が何を描きたいのか、その答えを探す時間だったのだと思います。
現在の制作活動
最近は、動物をモチーフにした作品を多く描いています。
孔雀、猫、馬などです。








私が絵を描くうえで最初に大切にしていることは、まず構図でその次が色彩です。
仕事の合間を縫いながら、何ヶ月も、時には年単位で描き続けることもありますが、時間をかけることでしか出せない“絵の深さ”も大切にしたいと思っています。
日々の生活と向き合いながら、少しずつ、丁寧に絵を描き続けています。
ご覧いただきありがとうございました。
絵を通して、自然や生き物の美しさ、そして自分の感じた感動を届けられたら幸いです。