油絵の描き方入門:美しい発色を生む地塗りの基本

油絵を描く際、美しい発色と作品の耐久性を決めるのが「地塗り」です。 キャンバスに直接絵の具を塗るのではなく、適切な地塗りを丁寧に施すことで、発色に発色し、絵の具の定着も良くなります。

油絵の描き方の基本|なぜ地塗りが重要なのか?

地塗りとは?油絵における役割を解説

油絵を描くとき、油絵用のキャンバスであれば必ずしも地塗りをしなくてもよいですが、ナイロンのキャンバスや木や紙の場合はそのまま絵具をのせるのではなく、まず「地塗り」を施すのが一般的です。
 地塗りとは、キャンバスや木などの表面に下地材(水性や油性地塗りなど)を塗る工程のことを指します。 

私が初めて油絵を始めたとき、地塗りの重要性をあまり理解しておらず、何も塗らないままキャンバスに直接描き始めたことがあります。
しかし、絵具の吸収がバラバラでムラになったり、発色が悪くなったりと、思うように表現できませんでした。
その経験から、地塗りの大切さを身をもって学びました。

地塗りの主な役割は以下の3つです:

絵具の吸収を調整する

キャンバスが絵具を吸い込みすぎると、発色が悪くなったり、描きにくくなります。 地塗りによって表面を整えることで、適度な吸収性を持たせられます。

発色をよくする

白い下地を作ることで、絵具の色が鮮やかに映えます。 また、下地の色を調整することで、作品全体の雰囲気をコントロールすることも可能です。

キャンバスの耐久性を高める

油絵具に含まれる油分が直接キャンバスに染み込むと、時間とともに劣化しやすくなります。 地塗りを施すことで、キャンバスの劣化を防ぐ役割もあります。

地塗りをしない場合のデメリットとは?

「地塗りって本当に必要?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、私の経験上、地塗りをしないとさまざまな問題が発生します。

絵具の吸収が不均一になる
以前、地塗りをせずに描いたとき、絵具が部分的に吸収されてしまい、ムラができてしまいました。
特に明るい色を塗った部分が沈んでしまい、色の調整が難しくなったのを覚えています。

絵具の発色が悪くなる
木など素材によっては地塗りなしで描くと、色がくすんだり、何度も重ね塗りしないと鮮やかにならなかったりします。
これにより、思った以上に時間と絵具を消費してしまいました。

筆の滑りが悪く、描きづらい
キャンバスに直接描くと、表面がザラザラしていて筆の動きが悪くなります。
地塗りをすると、スムーズに筆を動かせるので、ストレスなく描くことができます。

油絵の発色や筆の滑りに影響する地塗りの効果

地塗りをすると、油絵の発色や描き心地が格段に向上します。

 発色の向上
白い地塗りをすると、上にのせる色がはっきりと見え、鮮やかに発色します。
逆に、グレーや茶色の地塗りをすると、落ち着いた雰囲気の絵に仕上げることができます。
私自身、明るい作品を描くときは白のジェッソを使用し、シックな作品にしたいときは薄いグレーなどで地塗りをすることが多いです。

筆の滑りが良くなる
地塗りをすると、表面がなめらかになり、筆がスムーズに動きます。
特に繊細なグラデーションや細かいディテールを描くときに、この効果は大きく感じられます。
私も一度、地塗りを厚めに施して滑らかな表面を作ったところ、細かい描写がしやすくなり、仕上がりが格段に良くなった経験があります。

油絵具の定着が良くなる
地塗りによって絵具が適度に定着し、重ね塗りもしやすくなります。
特に、薄塗りをする際やグレーズ(透明な色を重ねる技法)を使うときには、地塗りの効果を実感できます。

地塗りは、油絵の描き方の基本であり、発色や描き心地に大きな影響を与えます。 私の経験からも、地塗りをしっかり行うことで作品のクオリティが向上し、制作のストレスも軽減されると実感しています。 これから油絵を始める方や、もっときれいに描きたい方は、ぜひ地塗りを意識してみてください。

地塗りの種類と選び方|油絵の発色を左右するポイント

吸収性地塗りと非吸収性地塗りの違い

 地塗りには大きく分けて 「吸収性地塗り」「非吸収性地塗り」 の2種類があります。 それぞれに特徴があり、作品の仕上がりや描き心地に大きな影響を与えます。 

吸収性地塗りとは?
吸収性地塗りは、絵具の油分をある程度吸収するタイプの下地です。
主に ジェッソ(アクリル下地材) を使うことが多く、下地がややマットな仕上がりになります。

私自身、ジェッソを使った吸収性地塗りで描いたとき、 マットな質感で落ち着いた仕上がり になると感じました。
また、絵具の層がしっかり定着するため、 重ね塗りや修正がしやすい のも特徴です。
ただし、油分を吸収しすぎると発色がくすむことがあるので、適度な層を作ることが大切です。

非吸収性地塗りとは?
非吸収性地塗りは、油分をほとんど吸収しない下地で、 油絵のツヤを活かしたいとき に適しています。
油性地塗りや、特定のメディウムを使った下地作りがこれにあたります。

私が初めて油性地塗りを試したとき、 絵具の発色が非常に鮮やか で、透明感のある仕上がりになったのが印象的でした。
特に グレーズ(透明色を重ねる技法)を多用する作品には最適 だと感じました。
一方で、表面がつるつるしすぎて筆が滑りやすく、慣れないうちは少し描きにくいこともありました。

吸収性と非吸収性の違い

 地塗りの種類    吸収性地塗り         非吸収性地塗り
 主な材料   ジェッソ、アクリル地塗り    油性地塗り
 発色     やや落ち着いた発色         鮮やかで透明感がある
 筆の滑り     適度な摩擦で描きやすい     滑らかでツルツルしやすい
 適した表現  マットな仕上がり、重ね塗り     ツヤのある仕上がり、グレーズ技法

ジェッソ・油性地塗り・アクリル地塗りの特徴

地塗りの種類はいくつかありますが、代表的なものとして  「ジェッソ」「油性地塗り」「アクリル地塗り」  の3つがあります。
それぞれの特徴を、私の経験を交えて紹介します。

ジェッソ(アクリル地塗り)
ジェッソは 最も一般的な地塗り材 で、アクリル樹脂を主成分としています。
使いやすく、初心者にもおすすめです。

特徴

乾燥が速く、短時間で下地を作れる マットな仕上がりで、重ね塗りしやすい 吸収性が高く、明るく落ち着いた発色
私も最初はジェッソを使っていましたが、筆の滑りが適度にあり、細かい描写がしやすかったです。
ただし、ジェッソを厚く塗りすぎると 粉っぽい質感になりやすい ので、均一に塗るのがコツです。

油性地塗り(ホルベインのクイックベースなど)
油絵具と相性がよく、特に 透明感のある仕上がりにしたいとき に適しています。布地や紙、木類に塗るとき作品を長期保存されるときは、劣化防止のためまずジェッソなど膠液で地塗りをしてからクイック ベースを使用してください。 

特徴

絵具の発色が鮮やかでツヤが出る 滑らかな表面で、筆がスムーズに動く 乾燥に時間がかかる(10日~数週間)
私が油性地塗りを試したとき、特に 深みのある色彩 が出せる点に感動しました。
油絵らしいツヤを活かしたい場合や、クラシックな表現をしたいときに向いています。
ただし、乾燥に時間がかかるので、 制作スケジュールに余裕が必要 です。

アクリル地塗り
アクリル地塗りは、ジェッソと同様に 水性で使いやすいですが、より硬質な下地を作ることができます。ホルベインのアブソルバンなどがあります。

特徴

乾燥が早く、作業をすぐに進められる
吸収性を調整しやすい
水性なので扱いやすく、初心者にも向いている
アクリル地塗りは、ジェッソよりもしっかりした下地を作りたいときに使用します。
私が試したときも、ジェッソより しっかりした表面 になり、筆のタッチが強調しやすいと感じました。

油絵の描き方に合った地塗りの選び方

では、どの地塗りを選べばよいのでしょうか?私の経験をもとに、 目的別におすすめの地塗りを紹介します。

初心者の場合
ジェッソ(アクリル地塗り)がおすすめ。乾燥が速く、扱いやすい
失敗しても塗り直しができる
発色を鮮やかにしたい場合
油性地塗りが最適。ツヤのある仕上がりになる
透明感のある色彩が表現できる
グレーズ技法(透明色の重ね塗り)を多用する場合
非吸収性の油性地塗りが向いている。絵具がしっかり発色し、深みが出る
短期間で作品を仕上げたい場合
アクリル地塗り(またはジェッソ)。乾燥が速く、すぐに描き始められる

地塗りの種類によって、油絵の仕上がりが大きく変わります。私自身、さまざまな地塗りを試してきましたが、 作品のテーマや表現方法に応じて地塗りを変えることで、より理想的な仕上がりになる と実感しています。
これから油絵を始める方は、自分の描きたい絵に合った地塗りを試してみてください!

初心者向け油絵の描き方|地塗りの手順とコツを解説

地塗りに必要な道具と準備するもの

地塗りをするには、適切な道具を揃えることが大切です。
私も最初は最低限の道具だけで始めましたが、後から「もっと使いやすいものがあったんだ」と気づくことが多かったので、初心者向けにおすすめの道具を紹介します。

🔹 必要な道具と材料

キャンバス or 木製パネル

 市販のキャンバス(すでに地塗り済みのものもある)
 自作する場合は木製パネルも選択肢

地塗り材(下地材) 

 ジェッソ(アクリル地塗り) → 乾燥が早く、初心者向け
 油性地塗り(ホルベインのクイックベースなど) → 発色が良く、ツヤが出るが乾燥に時間がかかる

筆 or スポンジローラー

 広めの平筆(刷毛) → 均一に塗りやすい
 スポンジローラー → ムラなく塗れるので初心者におすすめ

パレットナイフ(必要に応じて)厚みをつけたい場合に使用

サンドペーパー(400番程度)地塗り後の表面を滑らかにするために使う

ペインティングメディウム(速乾剤入りのものもあり)油性地塗りを使う場合に、乾燥を早めるために使用


🔹 準備のポイント

作業スペースを確保(新聞紙やビニールシートを敷く)
手袋やエプロンを用意(地塗り材が服につくと落ちにくい)
換気をしっかりする(油性地塗りは匂いが強いので注意)

均一に地塗りをするための手順とテクニック

地塗りをするとき、ムラができたり、厚く塗りすぎたりすると、あとで描くときに影響が出ます。そこで、 私が実践している均一に地塗りする方法 を紹介します!

🔹 地塗りの基本手順

キャンバスを固定する

イーゼルやテーブルの上に安定させる
木枠キャンバスの場合、裏面の補強もチェック

最初の薄塗り(下塗り)

ジェッソや油性地塗りを水またはテレピンで少し薄める
広い面を一気に塗るために、 平筆やスポンジローラー を使う

2~3回重ね塗り

1回目が乾燥したら、2回目を塗る(厚塗りにならないように)
1回ごとにサンドペーパーで軽く研ぐ(表面を滑らかにする)

乾燥させる

ジェッソなら3日で乾燥
油性地塗りなら 最低10~15日 は乾かす


🔹 ムラを防ぐコツ

筆跡を残さないように塗る(筆を交差するように動かす)
塗りすぎない(厚塗りすると乾燥が遅れる)
水平方向→垂直方向の順で塗ると均一になる

速乾性を高めるコツと失敗しないポイント

地塗りをした後、「なかなか乾かない…」「表面がベタつく…」というトラブルはよくあります。
私も以前、油性地塗りをした後に 乾燥を待たずに描き始めてしまい、絵具が混ざって大失敗 したことがあります…。

そんな失敗を防ぐために、 速乾性を高めるコツ を紹介します。

🔹 速乾性を高めるコツ

ジェッソを使う(アクリル地塗り):乾燥が速く、72時間で次の作業が可能

薄く塗る(油性地塗りの場合):厚く塗ると乾燥に2~3週間かかることもある

シッカチフ(速乾剤)を加える:乾燥を早めるために シッカチフ(乾燥促進剤) を数滴加える
ただし 入れすぎると黄変しやすいので注意

風通しの良い場所で乾燥させる:エアコンの風を直接当てないようにする(ホコリが付くため)


🔹 失敗しないためのポイント

厚塗りしない(乾燥が遅くなり、ヒビ割れの原因になる)
完全に乾燥するまで待つ(特に油性地塗りは最低10~15日)
サンドペーパーで整える(仕上げに軽く研ぐと滑らかな下地に)

地塗りは、油絵を描く上で非常に重要な工程です。
道具の準備から正しい塗り方、乾燥のコツを知ることで、よりスムーズに描き始めることができます。

私自身、地塗りの重要性を理解せずにムラだらけの下地で描いてしまい、何度もやり直した経験があります…。
でも、 適切な手順を踏めば、初心者でも美しい下地を作ることができます!

これから油絵を始める方は、ぜひ 「道具の準備」「均一に塗るコツ」「乾燥のポイント」 を意識して、理想的な下地を作ってみてください!

地塗り後の乾燥時間|油絵制作に適した準備とは?

地塗りの乾燥時間はどれくらい必要?

 地塗りをした後、どれくらい乾燥させるべきかは 使用する地塗り材の種類 によって異なります。  私も以前、乾燥時間を甘く見てしまい、下地がまだベタついている状態で描き始めて失敗したことがありました…。
適切な乾燥時間を知っておくことで、スムーズに制作を進めることができます!

🔹 地塗り材ごとの乾燥時間目安

地塗りの種類 乾燥時間(目安) 特徴
アクリル地塗り(ジェッソ) 72時間(完全乾燥) 乾燥が早く、初心者向け
油性地塗り(ホルベインのクイックベースなど 10~13日(厚塗りの場合は1週間) 発色が良く、滑らかな下地が作れるが乾燥が遅い
吸収性地塗り(ホルベインのアブソルバンなど) 2~3日(完全乾燥は1週間以上) マットな質感で絵具の吸収が良い

💡 ポイント

ジェッソ(アクリル地塗り)は乾燥が早く、すぐに次の工程に進める
油性地塗りは最低でも10~15日、理想は2週間以上乾燥させる
厚塗りすると乾燥に2週間以上かかることもあるので注意

早く乾燥させるための工夫と注意点

地塗りの乾燥を待つ時間は、できるだけ短縮したいですよね。
でも、 無理に乾燥を早めようとすると、後でひび割れやムラの原因になる ことも…。 
私も一度、ドライヤーで強制的に乾かそうとして、表面だけ乾いて中が生乾きになり、絵を描くうちに下地が剥がれる失敗をしたことがあります…。

そんな失敗を防ぎつつ、できるだけ乾燥を早める方法を紹介します。

🔹 乾燥を早める工夫

通気性の良い場所で乾燥させる

風通しの良い部屋に置く(直射日光は避ける)エアコンの 送風モード や扇風機の弱風を当てると効果的

薄く均一に塗る

厚塗りすると乾燥が遅くなるため、 1回の塗りは薄くし、重ね塗りする のがコツ

速乾剤(シッカチフ)を活用する

油性地塗りには シッカチフ(乾燥促進剤) を少量混ぜると乾燥が早くなる
ただし、 入れすぎると黄変やひび割れの原因になる ので注意

温度・湿度を適切に保つ

室温 20~25℃、湿度 50%以下 が理想
梅雨時や湿気の多い時期は特に乾燥しにくいので要注意


🔹 乾燥を早める際の注意点

ドライヤーを使うのはNG!(表面だけ乾いて中が生乾きになる)
直射日光に当てるとひび割れの原因になる
速乾剤は入れすぎない(少量で十分)

 乾燥後のチェックポイントと次の工程

地塗りがしっかり乾燥しているかどうかを確認することは、 次の工程でトラブルを防ぐために重要 です。
私も以前、乾燥が不十分なまま絵を描き始めて、筆が滑りにくくなったり、絵具が馴染まなかったりと苦労したことがあります…。

そこで、 地塗りがしっかり乾燥したかどうかを見極める方法 を紹介します。

🔹 乾燥後のチェックポイント

表面に触れてもベタつかないか?
指で軽く押しても跡がつかないか?
サンドペーパー(400番)で軽く研いでみて、粉が出るか?(粉が出れば完全乾燥)

🔹 次の工程に進む前の準備

サンドペーパーで表面を整える(ツルツル or ザラザラは好みで調整)

布や刷毛で余分な粉を拭き取る

絵の具をのせる前に、下描きをする場合は木炭や鉛筆で軽くスケッチ

💡 ワンポイントアドバイス

滑らかな表面が好きなら → サンドペーパーでしっかり研ぐ
絵具のノリを良くしたいなら → ざらつきを少し残す

 地塗り後の乾燥時間をしっかり確保することで、 絵具の発色が良くなり、描きやすい下地を作ることができます。 

🔸 乾燥時間の目安

ジェッソ(アクリル地塗り)→ 72時間
油性地塗り → 10~13日(厚塗りは2週間以上)

🔸 早く乾かす工夫

風通しの良い場所で乾燥させる
薄く均一に塗る
速乾剤(シッカチフ)を少量加える

🔸 乾燥後のチェック

指で触ってベタつかないか?
サンドペーパーで研いで粉が出るか?

私も最初の頃は「乾いたかな?」と思ってすぐに絵を描き始めて、 下地が剥がれたり、絵具が混ざったりして苦労しました。
でも、適切な乾燥時間を守ることで、 ストレスなくスムーズに制作できるようになった ので、ぜひ実践してみてください!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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